投資経験ゼロから始める倫理的な投資の具体的なステップ
はじめに:あなたの倫理観と資産運用を結びつける第一歩
「社会を良くすることに繋がるような形でお金を増やしたい」「でも投資の経験は全くないし、何から始めたら良いのか分からない」
ITエンジニアとして働くあなたは、日々進歩する技術に触れる中で、企業の社会的責任や持続可能性について考える機会も多いかもしれません。そして、ご自身の倫理観に沿った形での資産運用に関心を持たれているのではないでしょうか。
倫理的な投資は、まさにあなたのそうした思いと資産形成を結びつける可能性を秘めています。しかし、情報が多岐にわたり、専門用語も多いことから、どこから手をつけて良いのか戸惑うこともあるかもしれません。
この記事では、投資経験が全くない初心者の方でも安心して、ご自身の倫理観に基づいた投資を始めるための具体的なステップを解説します。難しく考える必要はありません。まずは最初の一歩を踏み出すための具体的な方法を確認していきましょう。
倫理的な投資を始める前に知っておきたいこと
具体的に始めるステップに入る前に、いくつか基本的なポイントを押さえておきましょう。
あなた自身の倫理観・価値観を明確にする
倫理的な投資は、まさにあなたの価値観を反映させるものです。「どのような社会に貢献したいか」「どのような企業や産業を応援したいか」「逆に、どのような活動には関わりたくないか」といった問いについて、漠然としたものでも構わないので考えてみましょう。
これは、後で投資対象を選ぶ際の重要な判断基準となります。例えば、「環境問題に関心がある」「人権を尊重する企業を応援したい」「武器製造には投資したくない」など、具体的な考えがあれば、それが投資の方向性を定める羅針盤となります。
投資の目的と許容できるリスクを考える
どのような投資であっても、「何のために」「いつまでに」資金が必要なのか、そして「どれくらいのリスクなら受け入れられるか」を考えることは非常に重要です。倫理的な投資であっても、価格変動のリスクは存在します。
初心者の方は、まずは「少額から」「長期的に」資産を育てるイメージで始めると良いでしょう。許容できるリスクの範囲内で、無理のない金額から始めることが大切です。
投資経験ゼロから始める倫理的な投資の具体的なステップ
ここから、実際に倫理的な投資を始めるための具体的なステップを見ていきます。
ステップ1:倫理的な投資について学ぶ(基礎知識を身につける)
まずは、倫理的な投資に関する基本的な考え方や種類について学びましょう。
- ESG投資: 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を企業の評価に組み込む投資手法です。企業の財務状況だけでなく、これら非財務情報も考慮することで、長期的な成長力やリスク耐性を見極めようとします。
- SRI(社会的責任投資): 企業の社会的責任や倫理的な側面を重視する投資です。労働環境、人権、地域社会への貢献なども評価対象となります。
- インパクト投資: 財務的リターンだけでなく、社会や環境にポジティブな「インパクト(影響)」を生み出すことを目的とした投資です。
これらの言葉に難しさを感じる必要はありません。最初は「社会や環境、企業の倫理的な取り組みを考えて投資することなんだな」という理解で十分です。当サイトの他の記事なども参考に、少しずつ知識を深めていくことをお勧めします。
ステップ2:投資方法を選ぶ(少額から可能な選択肢)
投資経験ゼロの方が、倫理的な観点から投資を始める場合、最も手軽で少額から始めやすいのは以下の方法です。
-
投資信託やETF(上場投資信託): 多くの資金をまとめて、専門家が複数の株式や債券などに投資する商品です。様々なテーマに沿った投資信託やETFがあります。
- 倫理的・社会的なテーマ型ファンド: 再生可能エネルギー、水資源、クリーンテクノロジー、社会貢献企業など、特定の倫理的・社会的なテーマに特化したファンドがあります。
- ESG評価連動型ファンド: 主要なESG評価機関の指数(特定のESG基準を満たした企業の集合体を示すもの)に連動することを目指すファンドです。
これらのファンドは、通常、100円や1,000円といった少額から積み立て投資が可能です。個別の企業を自分で選んで評価するのは初心者には難しいため、専門家が運用するファンドを通じて、倫理的な観点を取り入れた幅広い企業に分散投資できる点が大きなメリットです。
【チェックポイント】 投資信託やETFを選ぶ際は、そのファンドが「何を投資対象としているのか」「どのような基準で企業を選んでいるのか」を、目論見書や運用報告書で必ず確認しましょう。ファンド名に「ESG」「サステナブル」とついていても、その中身は様々です。
-
特定のプラットフォームを利用する: 近年は、特定の社会的課題解決を目指す企業やプロジェクトに特化した投資(クラウドファンディングなど)や、独自の基準で倫理的な投資先を選べるサービスを提供するフィンテック企業なども増えています。
これらのサービスは、より直接的に社会貢献性を感じやすい場合がありますが、投資信託などと比較するとリスクが高かったり、対象が限定されていたりすることもあります。まずは情報収集から始め、ご自身の理解度や許容リスクに合わせて検討してみましょう。
ステップ3:証券口座を開設する
投資信託やETFを購入するには、証券会社に口座を開設する必要があります。最近はオンラインで簡単に手続きできる証券会社が多く、初心者向けのサポートも充実しています。
口座開設にはマイナンバーカードなどが必要になります。複数の証券会社を比較検討し、ご自身の使いやすいサービスを選びましょう。
ステップ4:少額から実際に投資を始めてみる
口座開設が完了したら、ステップ2で選んだ方法で実際に投資を始めてみましょう。
最初は、毎月決まった金額を自動的に買い付ける「積立投資」がお勧めです。例えば、毎月5,000円や10,000円など、無理のない金額から始めることで、投資に慣れることができます。積立投資は、価格が高い時は少なく、低い時は多く購入することになり、長期的に見て購入単価を平準化する効果(ドルコスト平均法)も期待できます。
倫理的な投資を続けるためのポイント
投資は始めて終わりではありません。続ける中で、いくつか意識しておきたいことがあります。
- 定期的に情報収集をする: 投資先の企業の状況や、ファンドの運用報告などを定期的に確認しましょう。また、倫理的な投資に関する新しい情報や基準についても関心を持ち続けることが大切です。
- ご自身の倫理観と投資先の整合性を再確認する: 投資を始めた当初の倫理観は、社会情勢の変化やご自身の経験によって変わることもあります。時々立ち止まって、現在の投資先がご自身の倫理観と合っているかを確認してみましょう。
- 投資は自己責任であることを理解する: 倫理的な投資であっても、元本が保証されるわけではありません。価格が変動し、損失が出る可能性もあります。リスクを理解した上で、ご自身の判断で投資を行いましょう。
まとめ:倫理的な投資は、あなたらしい資産形成の形
投資経験ゼロから始める倫理的な投資について、具体的なステップを解説しました。
- あなた自身の倫理観・価値観を考える
- 倫理的な投資の基礎を学ぶ
- 少額から始めやすい投資方法(投資信託・ETFなど)を選ぶ
- 証券口座を開設する
- 無理のない金額で投資を始めてみる
倫理的な投資は、単に資産を増やすことだけを目的とするのではなく、あなたの価値観や社会への貢献といった倫理観を、日々の資産形成に反映させるための手段です。最初から全てを理解しようとせず、まずは小さな一歩から始めてみてください。
あなたの倫理観に基づいた投資が、より良い社会を作る一助となり、そしてあなたの資産形成にも繋がることを願っています。